【神奈川】西湘サーフおすすめポイント6選|電車で行ける急深の礫浜を解説
今回は神奈川県の西湘サーフを紹介します。
このシリーズでは茨城・千葉・静岡・宮崎と回ってきましたが、西湘は今までのどのエリアとも違います。遠浅の砂浜ではなく、急深の砂利浜だからです。同じ感覚で入ると、まず釣りになりません。
西湘サーフとは
国土交通省の京浜河川事務所によれば、直轄管理の「西湘海岸」は酒匂川河口から大磯港までの約13km区間を指します。釣り人が言う「西湘サーフ」も、だいたいこの範囲です。
そして相模湾の海底地形について、同事務所はこう書いています。
北西に向かって湾奥部まで海底谷が迫っており、全国的に見ても駿河湾、富山湾と並ぶ急峻な海底地形。
国土交通省 京浜河川事務所
駿河湾・富山湾と並ぶ。この時点でだいたい察しがつくと思います。
岸から1km以内で水深100m
神奈川県の「相模灘沿岸海岸保全基本計画」は、小田原海岸を「礫浜」と分類したうえで、こう記載しています。
- 水深100m地点は沖合約0.5〜1km
- 急深の砂浜海岸
- 酒匂川、森戸川、山王川、早川が流入しているため、海岸は大きな径の礫浜
- 高波浪が発生し易い海岸
岸から1km以内で水深100m。遠州灘や九十九里が「岸から40mで水深2m」の世界であることを考えると、まったく別の海です。
そして底質が砂ではなく礫(砂利)。流れ込む4本の川が大きな石を運んでくるからです。
大磯を境に、東と西で海が変わる
面白いのは、同じ県の同じ計画書のなかで、湘南海岸(平塚・茅ヶ崎側)は「遠浅の砂浜で、海水浴場に適する」と、まったく別カテゴリで書かれていることです。
| 西湘(小田原・二宮) | 湘南(平塚・茅ヶ崎) | |
|---|---|---|
| 底質 | 大きな径の礫浜(砂利) | 砂浜 |
| 勾配 | 急深(沖合0.5〜1kmで水深100m) | 遠浅 |
大磯を境に、西は礫浜・急深、東は砂浜・遠浅。これが県の公式文書レベルで分かれています。「西湘サーフ」と「湘南」を同じものだと思って情報を集めると、混乱する原因はここです。
急深だと、釣りがどう変わるか
釣り情報サイトの記載では、国府津海岸について「波打ち際の先は10m以上の水深となっている」とされています(※公的な実測値ではないので目安として)。
これが本当なら、実釣上の意味は決定的です。
- 遠投して沖のブレイクを叩く必要がない。足元がもうブレイク
- 足元〜近距離が主戦場になる
- 重いルアーを遠くに飛ばすより、手前をしっかり通すほうが効く
遠州灘や九十九里で染みついた「とにかく飛ばす」という発想を、いったん捨てる必要があるエリアです。逆に言えば、飛距離が出せない人でも勝負になるということでもあります。
狙える魚とシーズン
以下は釣り情報サイトの記載で、公的な裏付けはありません。目安として見てください。
| 時期 | 狙える魚 |
|---|---|
| 通年 | シロギス、イシモチ、ヒラメ、マゴチ |
| 春〜秋 | シロギス、イシモチ(投げ釣り) |
| 夏〜秋 | イナダ(ワカシ)、サバ、ソウダガツオなど青物の回遊 |
| 秋〜冬 | ヒラメ・マゴチ |
| その他 | シーバス、アオリイカ、タチウオ、メジナ、クロダイ |
青物は5〜9月、フラットフィッシュは9〜11月がベストという記載もあります。
ポイント比較
| ポイント | 市町 | 駐車場 | 電車 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 二宮・梅沢海岸 | 二宮町 | 漁港脇に無料スペース | 二宮駅から徒歩15〜20分 | 突堤・石積みが点在 |
| 国府津海岸 | 小田原市 | 専用駐車場なし | 国府津駅から徒歩5〜6分 | 西湘サーフの代表格 |
| 酒匂海岸・酒匂川河口 | 小田原市 | 無料・広い(朝は満車) | 鴨宮駅から徒歩20〜30分 | トイレなし |
| 御幸の浜・小田原漁港周辺 | 小田原市 | 近隣にコインパーキング | ― | 漁港内に立入禁止区域あり |
| 大磯海岸・大磯港 | 大磯町 | 有料353台(310円/h) | 大磯駅から徒歩約10分 | ルールが明確 |
| 平塚海岸・相模川河口 | 平塚市 | 有料約200台 | ― | ここから東は遠浅 |
西湘サーフの最大の特徴は、電車で行けることです。東海道線が海岸線に並走しているので、首都圏の砂浜サーフとしては例外的にアクセスがいい。とくに国府津は駐車場が事実上ないので、むしろ電車が本命になります。
国府津海岸(小田原市)
西湘サーフを代表するポイントです。ゴロタ・礫浜で、波打ち際の直近から急に深くなります。
アクセスが抜群です。JR東海道線の国府津駅から徒歩5〜6分。車なら西湘バイパス「国府津IC」から直結、東名は大井松田ICから約10km。
【重要】専用駐車場がありません。海岸近くに路上駐車している車をよく見かけますが、あれは違法駐車です。車で行くなら駅周辺のコインパーキングを使ってください。この不便さがあるからこそ、電車釣行が現実的な選択肢になります。
【安全】2016年8月、この海岸の波打ち際で遊んでいた20代男性が波にさらわれ、沖に流されて亡くなっています。119番通報から約25分後に沖合30mで発見されましたが、助かりませんでした。通報したのは近くにいた釣り人でした。
「波打ち際にいただけで沖30mまで流される」。この海岸の性格を、これ以上ないほど端的に示している事例です。急深というのはそういうことです。立ち込まない、波打ち際から下がる、ライフジャケットを着ける。この3つを徹底してください。
酒匂海岸・酒匂川河口(小田原市)
酒匂川の河口から東へ約680mがサーフ、その先に波打ち際のテトラ帯、さらに約700mのサーフが続きます。河口付近は浅く岩礁が混じるので根がかりに注意です。
無料の広い駐車場があります。ただし「朝マヅメを狙う釣り人で広い駐車場が満車となるほど」の人気。開場時間は確認できませんでした。早着推奨です。
【注意】トイレがありません。徒歩10分以内にコンビニがあるので、そこで済ませてから入るのが現実的です。長時間の釣行を考えているなら、これは事前に把握しておくべき情報です。
酒匂川は西湘海岸への主要な土砂供給河川です。出水のあとは地形が変わります。大雨の後に入るなら、前提をリセットして地形を読み直してください。
二宮・梅沢海岸(中郡二宮町)
西湘サーフの東端寄りにあたります。砂利混じりで、突堤や石積みが点在する地形です。
二宮漁港脇に無料の駐車スペースがあるとされていますが、台数や時間制限は確認できませんでした。閉鎖される場合もあるようなので、二宮町公式での確認をおすすめします。
アクセスはJR東海道本線の二宮駅から徒歩15〜20分。車は二宮ICから約10分。
【安全】平成19年の台風9号で、この二宮IC付近の砂浜が消失し護岸が倒壊しています。平成29年の台風21号でも護岸が倒壊しました。護岸が壊れるレベルの波が届く海岸だということです。「波をかぶる場合があり、滑らない靴とライフジャケットは必須」とされています。
御幸の浜・小田原漁港周辺(小田原市)
礫浜で、近隣にコインパーキングがあります。
【最重要】神奈川県が小田原漁港内の立入禁止場所を公示しています。防波堤や消波ブロックが設置されている危険な場所が立入禁止で、新港西側の蓄養水面エリアは関係者以外立入禁止です。
県が示している消波ブロックの危険性がこれです。高さ7〜10m、1個あたり20〜60トン。表面が滑りやすく不規則な隙間があり、「隙間に落ちると隙間の外に出られなくなる恐れ」。防波堤は海面からの高さが10mを超える場所もあります。
そして県はこう明記しています。「立入禁止場所に入るのは軽犯罪法違反です。法令により処罰されることがあります」。この数字と文言は、西湘一帯のテトラ帯すべてに当てはまると考えてください。
大磯海岸・大磯港(中郡大磯町)
この一帯でルールが最も明確なポイントです。大磯町の公式サイトが釣り場としてのルールを公表しています。
釣り可能エリアは西防波堤区間の港内側。漁業区域内は漁業活動の妨げとなるため釣り禁止です。
禁止事項は、転落防止柵を越えること、消波ブロックへの立ち入り、荒天時および営業時間外の防波堤侵入。
利用時間は月別で、2〜4月・9月が8:30〜17:00、5〜8月が8:30〜18:00、10〜1月が8:30〜16:00。駐車場は有料で第1・第2あわせて353台、普通車310円/時間・上限1,040円/日です。
そして閉鎖される条件がはっきり決まっています。波浪警報発令時、風速13m/s超過時、西防波堤に白波がかぶっている場合。この基準は、サーフに立つかどうかを判断するときの目安としても使えます。
平塚海岸・相模川河口(平塚市)
ここから東は遠浅の湘南海岸になります。西湘サーフとは性格が変わるので、同じ組み立てでは通用しません。遠浅らしく、離岸流と地形変化の把握が釣果の鍵になります。
隣接するひらつかタマ三郎漁港には、平塚市の公式ルールがあります。開放時間は7:00〜17:00で、この時間外の釣り・港内立ち入りは禁止。立入禁止区域への侵入も禁止です。
「港内は漁船優先です。釣りをする方は、漁船が近づいてきた場合」は竿を上げることと明記されています。バーベキュー・飲酒も禁止、釣り餌・釣り糸・釣り針は持ち帰りです。
【遠征者は必読】駐車場は夜間の留め置きができません。閉門時刻を過ぎると出庫できなくなります。前夜入りして朝マズメを狙う、という計画を立てるなら、ここは致命的な落とし穴になります。
【安全】急深な礫浜という条件
神奈川県は離岸流についてこう説明しています。
- 離岸流=海岸から沖に向かって流れる強い水流
- 見つけ方:海水の濁りで色が異なる/波がくだけない/アワやごみが沖に流れる
- 対処:慌てないこと。無理に陸に向かって泳がず、海岸と並行に泳いで脱出
- 泳ぎに自信がなければ浮いて救助を待つ
そして西湘特有の条件がこれです。
- 急深の砂浜海岸で高波浪が発生し易い海岸(神奈川県)
- 岸から沖合0.5〜1kmで水深100m(同上)
- 台風により護岸が倒壊するレベルの波が到達する(国土交通省)
正直に書いておくと、「礫浜は波打ち際で足を取られる」「引き波が強い」という現象そのものを書いた公的資料は見つかりませんでした。ただ、上の3つの事実と、国府津での死亡事故を並べれば、危険性は十分に伝わると思います。
立ち込まないこと。ウェーダーを履いて腰まで入る釣り方は、このエリアには向きません。波打ち際から数メートル下がった位置でキャストして、それでも足元が深いので釣りは成立します。装備の考え方はサーフフィッシングの装備完全版にまとめています。
神奈川県のルール
- 使える漁具は竿釣り・手釣り、たも網、叉手網、ざる、くまで(幅15cm以下)、投網、やす・いそがね、徒手採捕に限定
- 集魚灯を利用した採捕はできません(ナイトゲームの強力ライトは要注意)
- カニ網は禁止
- アワビ・ナマコは全面的に採捕禁止。違反は3年以下の拘禁刑または3,000万円以下の罰金
- ブリは全長15cm以下の採捕が禁止(=小さいワカシはリリース)
ヒラメ・マゴチ・スズキについては、規則の別表を確認した範囲では体長制限の定めが見当たりませんでした。ただし規則は改正されているので、最新版での確認をおすすめします。
海水浴期間については、平塚市が「遊泳区域内において、サーフボードや釣り竿を使用しないでください」と明確に禁止しています。開設期間は令和8年7月18日〜8月31日の9:00〜17:00です。
タックルの目安
飛距離より、手前を丁寧に。これが西湘の組み立てです。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| ロッド | 9.6〜10.6ft ML〜M(11ft超の遠投特化は不要) |
| リール | 4000番 |
| PEライン | 1.0〜1.2号 |
| リーダー | フロロ25〜30lb(礫で擦れるのでやや太め) |
| ルアー | 30g前後で十分。40g超の遠投用は出番が少ない |
礫浜なのでリーダーが擦れます。1投ごとに指で扱いてザラつきを確認する癖をつけてください。ラインの考え方はPEラインとリーダーの選び方とPEライン×ショックリーダー早見表にまとめています。
ロッドは初心者向けサーフロッドおすすめ9選、ルアーはサーフルアーおすすめランキング14選とただ巻きルアー27選を参考にしてください。
他エリアとの違い
| 西湘(神奈川) | 九十九里(千葉) | 鹿島灘(茨城) | 遠州灘(静岡・愛知) | |
|---|---|---|---|---|
| 底質 | 礫浜(砂利) | 砂浜 | 砂浜 | 砂浜 |
| 勾配 | 急深 | 遠浅と急深が混在 | 遠浅 | 遠浅 |
| 水深 | 沖合1km以内で100m | ― | 岸から40mで約2m | 岸から40mで約2m |
| 飛距離 | そこまで要らない | 必要 | 必要 | 必要 |
| 電車釣行 | 可能 | 一部 | 難しい | 難しい |
西湘は「飛ばさなくていいサーフ」です。これは他のどのエリアにもない特徴で、初心者にとってはむしろ入りやすい条件でもあります。ただし急深であることは、そのまま危険であることと同義です。
他エリアは【千葉】九十九里サーフおすすめポイント7選、【茨城】鹿島灘サーフおすすめポイント6選、【マル秘】田原サーフおすすめポイントまとめにまとめています。
まとめ
- 西湘は酒匂川河口〜大磯港の約13km。相模湾は駿河湾・富山湾と並ぶ急峻な海底地形
- 底質は砂ではなく礫(砂利)。沖合0.5〜1kmで水深100m
- 大磯を境に、西は礫浜・急深、東は砂浜・遠浅
- 遠投は要らない。足元〜近距離が主戦場
- 東海道線が並走していて電車で行ける。国府津駅から徒歩5〜6分
- 国府津は専用駐車場なし、酒匂はトイレなし
- 波打ち際にいただけで沖30mまで流された死亡事故がある。立ち込まない
- 消波ブロックは高さ7〜10m・20〜60トン。立入禁止区域に入るのは軽犯罪法違反
首都圏から電車で行ける本格サーフ、というのは実はかなり貴重です。ただし海の性格が他と違うので、「遠投しない」「立ち込まない」この2つだけは持って行ってください。
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