エギング

アオリイカはどんな生き物か|寿命1年・春と秋で別物になる理由を釣り人目線で解説

ミナギマン

アングラー目線の魚図鑑 ④ 過去回:ヒラメシーバス青物 ※アオリイカは魚類ではありませんが、釣り人にとっての人気を考えてシリーズに含めています。


アオリイカは「イカの王様」と呼ばれます。味が良く、引きが強く、ルアー(エギ)で狙える。この3つが揃っているから、専用のロッドやリールが次々に開発されるほどのジャンルになりました。

一方で、アオリイカほど生態を知っているかどうかで釣果が変わる相手も珍しいです。理由は、この生き物の寿命がたった1年だからです。

基本データ

項目内容
標準和名アオリイカ
地方名ミズイカ、モイカ、バショウイカなど
最大サイズ胴長40cm前後、重さ3kgを超える個体も
寿命約1年
分布本州中部以南を中心に広く分布
生息場所藻場、岩礁帯、堤防周り、サーフ
産卵期春〜初夏。藻場に卵を産みつける
秋〜冬(ただし春の大型も美味)

寿命1年 ― これがすべてを決めている

アオリイカのすべては、この一点から説明できます。

春から初夏に生まれる → 夏に急成長する → 秋に釣りの対象サイズになる → 冬を越えて大型化する → 翌春に産卵して死ぬ

このサイクルがあるから、エギングにはまったく性格の違う2つのシーズンが存在します。

春(親イカ)秋(新子)
相手産卵に来た1年ものその年生まれの若い個体
サイズ500g〜3kg超100g〜500g程度
極端に少ない多い
警戒心非常に強い薄い
主な場所藻場、深場寄り浅場、堤防際、サーフ
エギ3.5号中心2.5〜3.0号中心
難易度高い低い

同じ魚種を狙っているのに、道具も釣り方も別物になる。これがエギングの面白さでもあり、初心者がつまずくポイントでもあります。

春の狙い方は【春イカ開幕】大型のアオリイカの狙い方、秋の狙い方は秋の新子アオリイカ|9〜10月に数を伸ばすエギングの考え方にまとめています。

そしてもう一つ、この寿命の短さから導かれる大事な話があります。小さい新子を獲りすぎると、翌春の親イカがいなくなります。アオリイカには「来年も大きくなって戻ってくる個体」という概念がありません。胴長15cm以下はリリースする、というのが多くのアングラーが共有している線引きです。

3つのタイプがいる

アオリイカには外見や生息環境の異なる3つのタイプがいることが知られています。

  • シロイカ型:もっとも一般的。一般に釣れるアオリイカの大半がこれ
  • アカイカ型:より大型になる。外洋に面した海域で見られる
  • クアイカ型:小型。南方の海域に多い

釣り場で厳密に区別する必要はほとんどありませんが、「同じ場所なのに極端に大きい個体が混じる」といった現象の背景にはこうしたタイプの違いがあります。

抱く・乗る ― バイトの仕組み

魚と決定的に違うのが、アオリイカは**エギを「食う」のではなく「抱く」**という点です。

長い触腕を伸ばしてエギを捕まえ、腕で抱え込む。だからアタリは「ゴンッ」ではなく、

  • ラインのフケがフッと止まる
  • ラインが横に走る
  • 重みだけが乗る

という、非常に分かりにくい形で出ます。エギングで「アタリが取れない」と言われるのはこのためです。

そして、抱くのはフォール中です。エギが沈んでいる時間にしか勝負が発生しません。シャクリは「エギの存在に気づかせる」動作、フォールは「抱かせる」動作。この役割分担を理解すると、シャクリの後に長い間を取ることの意味が腹落ちします。

ロッドの選択もここに関わります。柔らかめのロッドはフォール姿勢が安定し、バレも減ります。詳しくはバレにくい柔らかめエギングロッドのメリット・デメリットをどうぞ。

エギのカラー選択についてはエギ王K カラーの使い分けエメラルダス アモラスジョイントの人気カラーにまとめています。

取り込みと、墨とカンナの話

アオリイカを取り込むときの注意点は3つあります。

1. 抜き上げると身切れする

アオリイカはカンナ(エギの傘バリ)で腕を引っ掛けているだけなので、重い個体を抜き上げると腕がちぎれて落ちます。300gを超えるサイズならタモを使ってください。春の親イカでタモを忘れるのは致命的です。

2. 墨を最初に吐かせる

取り込んだ直後、イカは墨と海水を勢いよく噴射します。顔を向けない、周囲に人がいないか確認する。これだけで悲劇が防げます。水面で少し墨を吐かせてから抜き上げると、服が助かります。

3. カンナは返しがないぶん外れやすい

エギのカンナには返しがありません。外すのは簡単ですが、暴れているイカと一緒に自分の指に刺さることがあります。イカが落ち着いてから外してください。

タックルの目安

項目秋(新子)春(親イカ)
ロッド8.0〜8.6ft8.6〜9.0ft
リール2500番2500〜3000番
PEライン0.5〜0.6号0.6〜0.8号
リーダーフロロ1.75〜2.0号フロロ2.0〜2.5号
エギ2.5〜3.0号3.5号

秋と春を1本で兼ねるなら、8.6ft・PE0.6号・エギ3.5号対応を選んでおくと不足がありません。

サーフからのエギングという選択肢もあります。人が少なく、型も期待できます。堤防でのエギングに飽きたらサーフエギング!にまとめました。

食味と持ち帰り方

アオリイカはイカの中でも別格と言われます。身が厚く、甘みが強く、刺身にすると独特のねっとり感があります。

持ち帰り方のポイント。

  1. その場で締める:目と目の間にナイフやピックを入れる。透明だった体が一気に白くなれば成功
  2. 墨を抜いておく:クーラー内で墨だらけになるのを防げる
  3. 真水に触れさせない:氷は袋やペットボトル越しに
  4. 1日寝かせると甘みが出る:釣った当日はコリコリ、翌日以降はねっとり甘くなる

好みが分かれるところですが、アオリイカは寝かせたほうがうまいというのが多数派の意見です。当日に刺身、翌日に残りを食べ比べてみると違いがよく分かります。

よくある質問

Q. なぜ「アオリ」? 胴の両側にある大きなヒレが、馬具の「泥障(あおり)」に似ていることが名前の由来とされています。

Q. 秋と春、どちらから始めるべき? 秋一択です。数が釣れるので、アタリの取り方とシャクリの感覚を体で覚えられます。いきなり春から入ると、何も釣れないまま嫌になる可能性が高いです。

Q. 釣れたイカが小さい。どうすれば? 沖のブレイクを狙う、マズメの時間に入る、人が少ない場所を選ぶ。この3つでサイズが上がります。

Q. 墨が服についた 真水ですぐに洗い流すのが最善です。時間が経つと落ちにくくなります。

まとめ

  • 寿命は約1年。だから春の親イカと秋の新子でまったく別の釣りになる
  • 食うのではなく抱く。勝負はフォール中
  • 抜き上げると身切れする。良型はタモを使う
  • 墨とカンナに注意
  • 締めて、真水を避けて、1日寝かせるとうまい
  • 小さい個体を獲りすぎると翌年に響く

次回はシリーズ最終回、マゴチ。サーフでヒラメを狙っていると混ざってくる、実は夏の高級魚です。

ABOUT ME
ミナギマン
ミナギマン
遠州灘サーフアングラー
1994年生まれ。出身は兵庫県で海を求めて静岡県磐田市に移住してきました。サーフフィッシングを楽しんでいる遠州灘サーフアングラーです。YouTubeでも活動しており、伊良湖から磐田までをフィールドとしています。
記事URLをコピーしました