マゴチはどんな魚か|照りゴチと呼ばれる理由と、大きい個体が全部メスである理由

ミナギマン

アングラー目線の魚図鑑 ⑤(最終回) 過去回:ヒラメシーバス青物アオリイカ


サーフでヒラメを狙っていると、ときどきやたら重いのに走らない魚が掛かります。上げてみると、平べったい頭と大きな口。マゴチです。

「ヒラメじゃなかったか」と少しがっかりする人がいますが、それはもったいない。マゴチは夏の高級魚で、食味ではヒラメと張り合えるレベルの魚です。しかも狙って釣ることができます。

このブログにはこれまでマゴチ単独の記事がありませんでした。シリーズの最終回として、きちんと取り上げます。

基本データ

項目内容
標準和名マゴチ
呼び名コチ、照りゴチ(夏の個体)
最大サイズ全長60cmを超える個体もいる
釣り人が喜ぶサイズ50cm以上で良型
分布本州中部以南を中心に、砂泥底の沿岸
生息場所サーフ、河口、内湾の砂泥底
産卵期春〜初夏
夏(照りゴチ)

「照りゴチ」― 夏が旬という珍しい白身魚

白身の高級魚は冬が旬のものが多いなかで、マゴチは真夏が旬です。

夏の日差しが照りつける時期に脂がのって美味しくなることから、照りゴチと呼ばれます。産卵期を終えて体力を回復させる時期が夏にあたるためで、この時期のマゴチは刺身にすると身が締まって甘い。

つまりマゴチは、ヒラメがオフシーズンになる夏に、同じサーフで狙える本命です。ヒラメを狙う人にとって、これほど都合のいい相棒はいません。

時期ヒラメマゴチ
△(産卵期)
△(高水温で厳しい)◎(照りゴチ)
○(味は最高)×(深場へ)

夏に「サーフに行っても釣れないから休む」という人は、狙う魚をマゴチに切り替えるだけで釣行日が増えます。

大きいマゴチは全部メス ― 性転換する魚

マゴチのいちばん面白い生態がこれです。

マゴチは雄性先熟、つまり小さいうちはオス、成長するとメスに性転換する魚です。おおむね40cm前後を境に、多くの個体がメスへと変わっていくとされています。

ということは、50cmを超えるマゴチはほぼすべてメスということになります。良型を釣ったら「立派なメスだな」と思って眺めてみてください。見え方が少し変わります。

同時にこれは、資源管理の観点でも意味を持ちます。大型=産卵する個体なので、必要以上に大型ばかりを持ち帰らないというのは筋の通った考え方です。

ヒラメとの違い ― 待ち伏せ方が違う

同じ砂地の待ち伏せ型フィッシュイーターですが、ヒラメとマゴチでは構え方が違います。

ヒラメマゴチ
体の向き横倒し(体を平たくして砂に潜る)腹ばい(頭を上から押しつぶした形)
目の位置体の左側に両目頭の上側に両目
襲い方下から急上昇して襲うほぼ真上を、短い距離で襲う
遊泳力そこそこ泳ぐあまり泳がない

この違いが、そのままルアーの通し方の違いになります。

ヒラメは底から数十センチ浮かせたレンジで食ってきますが、マゴチはもっと底に近いレンジでないと反応しません。マゴチが釣れない人の大半は、ルアーが上を通りすぎています

具体的には、

  • ボトムに着底させる
  • 底を小突くくらいのイメージでゆっくり巻く、あるいはリフト&フォール
  • 3〜5回巻いたら、また底を取り直す

この「底を取り直す」動作を怠らないことが、マゴチ釣りのほぼすべてです。ワームとジグヘッド、ダウンショット、テキサスリグなど、ボトムを丁寧に探れるリグが有利になります。

ジグパラサーフのようなジグでも、着底を意識して使えば十分に狙えます。ルアーの選択肢はサーフルアーおすすめランキング14選から、ボトム系を中心に選んでみてください。

掛けたときの動き方

マゴチのファイトは、一言でいうと「重いだけ」です。

  • 走らない
  • 引かない
  • ただ、ゴミを引いているような重さがある
  • 波打ち際で急に首を振る

「根掛かりかと思ったら動いた」というのがマゴチのあるあるです。ヒラメのような明確なファイトがないぶん、波打ち際までの油断が最大の敵になります。

そして最後の首振りが強烈です。マゴチの口は硬く、フッキングが浅いと最後にポロッと外れます。ヒラメと同様、しっかり重みが乗ってから合わせるのが鉄則です。

触るときに気をつけること ― エラの棘が本当に危険

この記事で一番伝えたいのはここです。

マゴチはエラぶたの周辺に鋭く硬い棘を持っています。これが本当に危険で、うっかり握り込むと深く刺さります。

さらに厄介なのが、マゴチは手に持つと急にビクンと跳ねること。落ち着いていると思って気を抜いた瞬間に暴れるので、刺さり事故が起きやすい魚です。

安全な扱い方は、

  1. フィッシュグリップで下顎を掴む(素手で持たない)
  2. 頭側を持つなら、目の後ろの平たい部分を上から押さえる
  3. エラぶたの左右には絶対に指を入れない
  4. フックを外してから写真を撮る

刺されると腫れて痛みが長引きます。ヒラメの歯より、マゴチの棘のほうが実害は大きいと思っておいてください。

タックルの目安

マゴチ専用の道具を買う必要はありません。ヒラメ用のサーフタックルがそのまま使えます

項目目安
ロッド9.6〜10.6ft ML
リール4000番クラス
PEライン1.0〜1.2号
リーダーフロロ20〜30lb
ルアーワーム(20〜30g)、メタルジグ(30〜40g)

ロッドは初心者向けサーフロッドおすすめ9選、ラインはPEラインとリーダーの選び方を参考にしてください。装備全体はサーフフィッシングの装備完全版にまとめています。

食味と持ち帰り方

マゴチは刺身にすると絶品です。透明感のある白身で、フグに例えられることもあるほど。薄造りにしてポン酢で食べるのが定番です。天ぷら、洗い、しゃぶしゃぶも良い。

ただし、見た目に対して可食部が少ない魚です。頭が大きく骨も太いので、50cmあっても身は思ったほど取れません。数を持ち帰るというより、良型を1匹丁寧に食べる魚だと考えたほうがいいです。

締め方はヒラメと同じで、

  1. エラの付け根を切って血を抜く
  2. 氷は間接的に当てて冷やす(真水に直接触れさせない)
  3. 1日程度寝かせると旨味が乗る

クーラーの運用は【ランガンクーラー】サーフで釣った魚をキープするおすすめ方法をどうぞ。

よくある質問

Q. メゴチとは違うの? 違います。「メゴチ」と呼ばれる魚はネズッポの仲間などを指すことが多く、マゴチとは別のグループです。天ぷらネタとして有名なのはこちらのほうです。

Q. ヒラメ狙いのついでに釣れる? 釣れますが、レンジを底に寄せたほうが確率は上がります。ヒラメ本命なら底から少し上、マゴチ本命なら底ベタ、と意識的に切り替えてください。

Q. 夜でも釣れる? 釣れます。ただしマゴチは視覚で捕食する割合が高いので、明るい時間帯(特に朝マズメ)のほうが安定します。

Q. アニサキスは? 生食する以上、注意は必要です。魚種ごとのリスク傾向はアニサキスが多い魚ランキングで公的データをもとにまとめています。

まとめ

  • 旬は。「照りゴチ」と呼ばれる、珍しい夏が旬の白身魚
  • 大きい個体はほぼメス。小さいうちはオスで、成長すると性転換する
  • ヒラメより底べったり。ルアーは底を小突く意識で
  • ファイトは重いだけ。波打ち際の首振りでバラさない
  • エラの棘が非常に危険。必ずグリップを使う
  • 刺身は絶品。ただし可食部は少なめ

これで「アングラー目線の魚図鑑」シリーズ第1弾は完結です。次はタチウオ、アジあたりを予定しています。

シリーズを最初から読む場合はヒラメの回からどうぞ。季節ごとの釣りものは遠州灘の9月の釣りガイドにまとめています。

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ミナギマン
ミナギマン
遠州灘サーフアングラー
1994年生まれ。出身は兵庫県で海を求めて静岡県磐田市に移住してきました。サーフフィッシングを楽しんでいる遠州灘サーフアングラーです。YouTubeでも活動しており、伊良湖から磐田までをフィールドとしています。
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